アコースティックギター(アコギ)を初めて買う人のための選び方のコツ
アコースティックギター(アコギ)については、これまでミニアコースティックギターとアコギの4つ違いやギターのネックの材質、ギターの指板の材質などについてご紹介してきました。
今回は、アコギをはじめて買う場合のアコギの選び方のコツについて、大きさや種類、予算、おすすめのメーカーや買った後で後悔しないためのポイントまで、まとめてみたいと思います。
尚、アコースティックギター(アコギ)ですが、アコギとは生の音で演奏するギターのことを指すもので、金属の弦(スチール弦)を張ったフォークギターとナイロン弦を張ったクラシックギターがあります。
ただ、一般的にはアコギというと金属の弦を張ったフォークギターのことを指す場合が多いと思いますので、この記事でもアコギ=金属の弦を張ったフォークギターとしてお話をさせていただきたいと思います。
それでは早速、はじめてのギターの選び方を見てゆきましょう!
目次
- 1)大きさ(サイズ)
- 2)アコギの2つの種類
- 3)予算(どの位の価格帯がおすすめか?)
- 4)メーカー
- 5)弦高と使われている弦をチェック
- 6)ネックの太さ(ナット幅)
- 7)ネット or お店で買う?試奏はした方がいいの?
- 8)初めてのギターと一緒に買っておきたいモノ
1)大きさ(サイズ)
まず、最初にアコギの大きさ(サイズ)を選んでいきましょう。
アコギには大きくわけると3つのサイズがあります。
- ①ドレッドノート
- ②フォークタイプ
- ③ミニギター
それぞれ利点と欠点がありますので、そういった点を考えながら自分に合うギターを探してゆくといいのかなと思います。
①ドレッドノート
今回ご紹介する3つのサイズの中では最も大きいタイプになります。
ドレッドノートの利点は、ボディのサイズを生かした迫力の生音になります。
アコギは生音を楽しめることがその魅力ですが、迫力のある生音を楽しみたい人にはドレッドノートがおすすめです。
また、アコギの弾き方にも、ストローク(ジャカジャカ~♪と弾く方法)とアルベジオ(指で弾いたり、弦を1本づつ弾いたりする方法)がありますが、ストロークで弾きたい方にはこのドレッドノートはおすすめです。
一方、ドレッドノートの欠点は、大きいために、ギターを(弾く際に)抱えにくいこと(特に小柄な女性など)、また、音がかなり大きいので、アパートやマンションなど、集合住宅にお住まいの方などには向いていないかも知れません。
②フォークタイプ
フォークタイプは、ドレッドノートとミニギターの中間のサイズになります。
フォークタイプと表現していますが、このサイズのギターには000、オーディトリアムなどなど・・厳密には色々な呼び方、種類があるのですが、いずれもドレッドノートタイプよりは小さいので、ここではそれらをまとめて、フォークタイプと表現したいと思います。
さて、フォークタイプの利点ですが、何と言ってもバランスが取れている点、オールマイティに使える点になります。
また、このサイズのギターは、(ギターを弾く際に)抱えやすく、また、弾きやすいと感じる人も多いです。
生音もドレッドノートほどの迫力はないものの、生音を十分に楽しめる音量や音の伸びがあります。
また、このフォークタイプはソロギター(または、アルペジオで弾くこと)に向いていると言われているので、将来的には色々なこと(弾き語り、ソロギター・・・などなど)をやっていきたい人にはこのフォークタイプはおすすめかなと思います。
一方、フォークタイプの欠点は、ドレッドノートに比べると、生音が小さくなる、音の伸びがやや劣る点になります。
③ミニギター
ミニギターは今回ご紹介する中では最も小さなギターになります。
ミニギターについてはミニアコースティックギターとアコギの4つ違い、利点と欠点とは?にて詳しくご紹介させていただきましたが、ここで簡単にその利点を説明すると、ミニギターの利点は何と言っても弾きやすく、持ち運びが便利なところです。
詳しいことは上記の記事を参照いただければ幸いですが、ミニギターは弦のテンション(弦の張り)が弱いという特徴があります。
弦の張りが弱いということは、弦を押さえやすい・・・ということになります。
特にアコギの場合は、金属の弦を指で押さえるので、最初は押さえるのも大変だったり、指が痛くなったりすることがあります。
そういう意味で、ミニギターの、弦の張りが弱い、押さえやすい・・という特徴はとても魅力的な点ではないかなと思います。
また、ミニギターは音も他のタイプに比べると小さいですので、集合住宅にお住まいの方などにはおすすめかも知れません。
小さくて弾きやすい、場所をとらない、持ち運びが便利・・・ということもあって、ミニギターを2本目のギターとして購入する方もいます。
一方、ミニギターの欠点は、サイズが小さいので、背の高い男性や手の大きい方は弾きにくいと感じることもあるかも知れません。
また、音(音量や音の伸び)も他のサイズに比べると、落ちます。
さて、3つのサイズについて見てきましたが、じゃあ、おすすめはどれ?と言われると、それは人によっても変わってくるかと思いますので、一概にこれがいいとは言えないかも知れません。
ただ、あえて選ぶとしたら、僕(筆者)はフォークタイプがおすすめかなと思います。
バランスが取れていて、色々な演奏方法にも対応でき、サイズ的にもちょうどいいというか、扱いやすいギターかなと思います。
ここで簡単にまとめると、アコギには3つのサイズ(ドレッドノート、フォークタイプ、ミニギター)があります。それぞれ利点と欠点があるので、自分の用途に合わせて選ぶのがいいと思いますが、あえて選ぶとしたら、初めて買うギターとしてはフォークタイプがおすすめです。
2)アコギの2つの種類
アコギですが、大きくわけると2つの種類があります。
- ①一般的なアコギ
- ②エレアコ
①一般的なアコギ
いわゆるアコギと呼ばれるものです。生の音で演奏するギターのこと。
これから初めてのアコギを買う方の多くがこのタイプを選ばれると思います。
②エレアコ
エレアコとは、エレクトリック・アコースティック・ギターの略です。
エレアコの場合は下の赤い丸で囲んであるカッタウェイ(ボディの一部分をえぐってある形状)と呼ばれるものが付いているモデルが多いです。
エレアコの場合は、アコギのように生の音で演奏することもできますし、エレキギターのようにアンプにつなげることもできます。
将来的にライブで使いたいような場合は、このエレアコを選ぶといいかも知れません。
さて、生の音でも演奏できて、アンプにもつなげられるなら、普通のアコギより、エレアコを買った方がいいのでは?
・・と思われるかも知れません。
エレアコはアコギよりもやや小さめに作られていることも多く、全体的に弾きやすいという利点もあります。
ただ、エレアコと普通のアコギには決定的な違いが1つあります。
それが生音です。
一般的なアコギに比べると、エレアコは生音の質がどうしても落ちる傾向にあります。
勿論、最初からエレアコを買っても何も問題はないのですが、初めてアコギを買うことを考えると、ライブで使うという明確な目的がない限り、最初は一般的なアコギを買って、2本目にエレアコを検討する・・・というのも一つの考え方かなと、思います。
ここまでを簡単にまとめると、アコギには、①一般的なアコギと②エレアコがあります。基本的には一般的なアコギがおすすめ。ライブで使うという目的がある場合はエレアコがおすすめです。
3)予算(価格帯)
アコギといっても色々な価格帯の製品があります。
初めて買うアコギはどの程度の価格帯のものがおすすめか?
・・・ということですが、中には1万円未満のものもありますが、弾くにくいものや品質が悪いものもあり、おすすめはできないかなと思います。
おすすめは、数万円~10万円未満のものになります。
この範囲で、予算に合わせて選んでいただくといいかも知れません。
この価格帯(数万円~10万円未満)のものであれば、ある程度の品質で、弾きやすく、また、長く使えるモデル※が多いです。
※最初に買うギターは、思い入れのあるギターにもなりやすく、案外長く使うことになる・・・というケースも多いです
数万円から10万円未満・・と幅がありますが、価格の違いは大体が使われている木材の違いになります。
木材が違ってくることで、音であったり、触れた時の質感のようなものが変わってきます。
当サイトではこんな記事も書いています。
同じメーカーの同じ形のアコギでも、使用している木材の違いで価格が違う・・ということもありますので、可能であれば、店員さんに弾いてもらうなどして音を確認してみてもいいかも知れません。
それから、中には、何十万円もする高級モデルもあります。
例えば、大人になってからギターをはじめる方で予算に余裕がある方はそういったモデルを選ぶのもいいかも知れません。
ただ、何十万円もする高級ギターになると、塗装を薄くして(ラッカー塗装など)、音を良くしているモデルもあるのですが、管理、メンテナンスが大変なので、最初は避けた方がいいかも知れません。
塗装という意味では、ポリウレタン塗装のものは、傷に強く、温度・湿度変化にも強いので管理が楽です。初心者の方にはこちらの方がでおすすめかなと、思います。
ちなみに、先ほどおすすめした数万円~10万円未満の価格帯のギターの多くはポリウレタン塗装だと思います。
ここで簡単にまとめると、初めて買うギターとしては、数万円~10万円未満のものがおすすめ。何十万円もする高価なギターを購入する場合は、ラッカー塗装かポリウレタン塗装かを調べて、どちらが自分に合っているか比較する必要があるかも知れません。
4)メーカー
アコギのメーカーですが、色々なメーカーがあります。
おすすめしないのは、無名のメーカーが作っている格安タイプのギターです。
じゃあ、おすすめのメーカーは?
ということですが、誰か好きなアーティストに憧れてアコギを始めようと思う方もいらっしゃると思います。
そういう場合は、そのアーティストと一緒のギターを選ぶのもいいと思います。
やはり、ブランドに対するイメージというか、そういったものも大切だと思いますので。
ただ、そういったブランドがない・・・という方にはどのメーカーがおすすめか?
・・・というと、沢山あるのですが、ズバリ、1つに絞ると、はじめて買うアコギは、「YAMAHA」がおすすめです。
YAMAHAの数万円~のモデルは弾きやすく、音もよく、品質もしっかりしていて、長く使えるものが多いです。
ちなみに筆者もYAMAHAのアコギを数本所有していますが、とても気に入っています。
ここで簡単にまとめると、憧れのアーティストと同じメーカーのものを選ぶのもGood。筆者のおすすめは、YAMAHAです。
5)弦高(げんこう)と使われている弦をチェック!
初めてアコギを買う際ですが、注意したいことが2つあります。
それが、弦高とそのギターに使われている弦の種類になります。
弦高(げんこう)とは、フレットと呼ばれる部分から弦までの高さのことになります。一般的には6弦で何ミリ、1弦で何ミリ・・・という風に測ります。
具体的には、12フレットの上の部分から弦までの距離になります。
12フレット・・
上の写真を拡大して・・↓の距離が弦高です。
この弦高ですが、弦高が高いとかなり弾きにくく、挫折してしまう要因にもなることがあります。
それ位、弾きやすさに直結する大事なことなのですが、弦高は、6弦で2.5mmを目安にするといいかと思います。
それより高いと弦を押さえにくいと思います。特にこれからギターをはじめる方の場合は。
例えば、弦高が6弦で3mm以上あったりすると、たった、0.5mmちょっとの違いなのですが、弾きやすさは劇的に変わります。(3mm以上だとかなり弾きにくくなると思います)
ちなみに、僕の場合は、6弦で2mmちょっとにしています。
非常に弾きやすいのですが、2.5mmより低く設定すると、場合によってはビビる※こともあります。
※ビビる・・・弦を弾いた時に、弦が振動してフレットに当たり、ビリビリ・・というノイズが出てしまうこと
ですので、最初は6弦で2.5mm程度がいいかも知れません。
購入する際に、店員さんに「このギターの弦高(げんこう)はどの位ですか?」と聞いてみるといいかと思います。
そして、もし、それより弦高が高い場合は購入する際に調整をお願いするといいかと思います。(何ミリに・・と言いにくい場合は、弦高を低めにしてくださいとお願いするといいかと思います。
ちなみに、弦高は購入後でも調整してもらえますが、最初の段階で弦高が高すぎたために、弦を押さえるのが難しくなってしまい、そこでギターは自分には向いていないと諦めてしまう方もいます。
ですがそれは弦高のせいかも知れませんので、できれば、最初から弦高が適度に低いギターを購入するか、購入段階で弦高を適度に低くしてもらった方がいいと思います。
次にそのギターに使われている弦についてです。
アコギの弦にも色々な種類がありますが、その違いの1つは太さです。
一般的なアコギの場合はLight(ライト、もしくはライトゲージ)の弦が使われていることが多いかと思います。
それよりも太い弦だと、Medium(ミディアム)、ライトよりも細いものに、カスタムライト、エクストラ・ライトがあります。
おすすめは、Lightかそれよりも細い弦(カスタムライトなど)を使っているギターを選ぶことです。
というのも、弦が太くなると、それだけ弦を押さえるのに力が必要になり、弾きにくくなるためです。
太い弦を使うことでハリのある音を出せるという利点もありますが、初心者の方の場合は、やはり押さえやすさ、弾きやすさを重視した方がいいのかなと思います。
弦は、張り替える際に違う種類の弦(細い弦)に交換することも勿論できるのですが、太い弦を張っていたギターなのに、細い弦に交換してしまうと、ネックが曲がってしまうことがあります。(そのため、ネックの調整が必要になってくることが多いです)
この話をすると長くなってしまうので、今回は省略したいと思いますが、最初からライトか、または、カスタムライトの弦を使っているギターを選ぶのが個人的にはおすすめです。
ちなみに筆者はカスタムライトが張られたYAMAHAのギターを使っています。
ここで簡単にまとめると、弦高は6弦で2.5mmを目安に。弦はライトかカスタムライトなど細めの弦が最初から張ってあるギターが弾きやすく、おすすめです。
6)ネックの太さ(ナット幅)
ネックの太さも弾きやすさに直結してくる部分で、ギターを購入する際はチェックしておきたい大切なポイントになります。
ネックの太さは、ナット幅という風に表現されます。
このナット幅ですが43mm~44mm程度が一般的です。
これよりも太かったり、細かったりすると、弾きにくくなることがあるので、できれば、43~44mm程度のものを選ぶといいかと思います。
また、ナット幅は弦高とは違って、購入後に変えることができないので、最初に確認しておくことがとても重要になります。
ここで簡単にまとめると、ナット幅は43mm~44mmのものを選ぶのがポイントです。
7)お店で買う?試奏はした方がいいの?
ギターはインターネットでも買うことができますが、先ほども書いたように弦高の高さなどを確認するため、できればお店の方がいいかも知れません。(個体によっても弦高などは違っている場合もありますので)
また、ギターを画面で見るのと、実際に見るのとでは、印象も随分と変わってくることがあります。
試奏(試しに弾いてみること)はした方がいいか?ということですが、これからギターをはじめる人は試しに弾いてみるということは難しいと思いますが、店員さんかギターが弾けるご友人などに一緒に来てもらって弾いてもらって音を確認してみるといいかも知れません。
その後で、「ちょっと持つだけ持ってみてもいいですか?」とお願いして、触ってみるのも◎
ここで簡単にまとめると、ネットでも買えますが、実際に触れてみることがおすすめ。店員さんやご友人に弾いてもらうのも◎
8)初めてのギターと一緒に買っておきたいモノ
さて、ここまで初めてのギターの選び方について色々と見てきました。
最後に、ギターと一緒に買っておくと便利なものも少しご紹介したいと思います。
①ピック
必需品になります。
ピックの選び方についてはギターのピックの種類と選び方。初心者におすすめのピックもで詳しくご紹介しています。
②ギタースタンド
ギターを立てかけておくスタンドです。ギターはちょっとぶつけるだけでも傷がついてしまうデリケートな楽器なので、これもあった方がいいです。
③チューナー
ギターをチューニングするためのグッズになります。これも必需品。
おすすめは、ギターのヘッドに挟んで使うクリップチューナーと呼ばれるものになります。
こんな感じでギターのヘッドにつけっぱなしにしておけるので、とても便利です。
④クロス
ギターについた汚れなどを拭くためのクロスもあった方がいいです。
タオルなどで拭くと、細かな傷が付いてしまうことがありますので、ギター用のクロスを使うようにするといいかと思います。
⑤カポ(カポタスト)
カポ(カポタスト)とはこんなものになります。写真はKyser(カイザー)のカポ。
こんな風にギターに装着して使います。
ここでは詳しい説明は省きますが、カポは簡単にキーを変えることができる便利グッズで、例えば、弾き語りをしたい場合などは必須アイテムです。1個、持っておいて損はないと思います。
さて、ギターと一緒に買った方がいいグッズについてご紹介してきましたが、中にはこういった必須アイテムがギターとセットになっているものもあります。
そういったセットになったものを選んでみてもいいかも知れません。ただ、それぞれのアイテム、ピック、チューナー、スタンド、カポなど・・・も色々なタイプがあるので、選ぶのが苦でなければ自分で1つ1つ選ぶのがベストかなと思います。
後で買ってもOK
これは後々買ってもいいかなと思うグッズになります。
①オイル、クリーナー
ギターの指板やボディに使うオイル、クリーナーなど。
写真はフェルナンデスのレモンオイル。
②交換用の弦
買ったギターに張ってあるのと同じ種類(ゲージ、太さ)のものを買うようにします。
③ストリングワインダー
ストリングワインダーとはこのようなものです。
ギターのヘッドについているペグと呼ばれる部分のつまみ(↓の赤い丸の部分)を回転させるグッズです。
弦を交換する際は、このつまみを何回も何回も何回も・・緩めたり、巻いたりする必要があるので、手でやっていると、結構疲れます(汗)
ワインダーがあると、グルグルグルグルーーっと簡単に巻いたり、緩めたりできるので、便利です。
④ニッパー
これはご自宅にあるものでもOK。弦を交換する際に使います。(余った弦を切るため)
↓は僕が使っているものですが、小型のニッパーだと場所をとらないのと、弦を交換する作業の時も邪魔にならないので、個人的にはおすすめです。
⑤アンプとシールド
エレアコを購入された場合。アンプはアコースティックギター用のものもあります。シールドとは、アンプとギターをつなぐケーブル(↑)のこと。
⑥譜面台・教則本
必要に応じて。
さて、長くなりましたが、ここまで初めてのギターを買う際の選び方のポイントについて見てきました。
いいギターが見つかりますように。