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曲先と詞先。初心者はどっちを選んだらいい?アーティストのやり方も

作曲をする方法には、大きくわけると2つあります。

それらが、

1)曲先(きょくせん)
2)詞先(しせん)

になります。

1)曲先(きょくせん)

曲、メロディを最初に作って、そのあとで歌詞を乗せてゆく作曲方法。この2つの中ではより、一般的な作曲方法です。

2)詞先(しせん)

詞をまず書いてから、そこにメロディを乗せてゆく作曲方法。一般的にはこちらの方が難しいとされています。

アーティストでは、福山雅治さんは曲先が自分のやり方と語られています。詞先で有名なのは、槇原敬之さん。

メロディと歌詞を同時に作ってゆくことで知られるのが中島みゆきさん。

その他、アーティストさんの曲作りの方法なども後程、詳しくご紹介してゆきたいと思います。

その前にまず、

1)曲先(きょくせん)
2)詞先(しせん)

の利点や欠点、どちらがいいのか?ということについて見てゆきたいと思います。

目次

曲先の利点

曲先(きょくせん)は、冒頭でもご紹介したように、曲、メロディを最初に作って、そのあとで歌詞を乗せてゆく作曲方法になります。

こちらの作曲方法の方が、より一般的な作曲方法で、初心者の方にすすめる場合もこちらの作曲方法をすすめる専門家は多いです。

さて、作曲初心者にとって、この曲先(きょくせん)の利点ですが・・・

①初心者にとってはこちらの方が簡単であることが多い
②例えば、鼻歌からなど、気軽にはじめられる
③曲を完成させやすい

といった点になると思います。

詞先(しせん)の方が難しいと言われていますが、(詞先のように)先に歌詞が決まっていると、リズムであったり、メロディに制限が出てきて、特に初心者にとってはそのやり方で作曲することが難しくなってしまうことがあります。

一方で、曲先(きょくせん)の場合は、そういった制限がなく、自由にメロディを作ってゆきやすく、また、例えば、詞先の場合は、歌詞の内容によっては1番と2番のメロディが変わってしまう・・なんてこともあり得ますが、曲先の場合は、1番も2番も(メロディは)同じで構わないわけで、そういう意味では、曲を完成させやすいという利点があるのかも知れません。

曲先の欠点

曲先にはそんな風にして利点も多いのですが、欠点も勿論ですが、あります。

①メロディという制約を受ける
②型にはまった曲になりやすい
③強いメッセージ性のある曲が作りにくい

曲先の場合、メロディという制約を受けることで、自分が言いたいことを歌詞の中で表現することが難しくなってしまうことがあります。

そのため、強いメッセージ性のある曲が作りにくいのも欠点の一つかも知れません。

また、曲先だと、どうしても、型にはまった曲というか、どこかで聴いた曲になってしまいやすい・・ということもあるかも知れません。

曲先が向いている人

①初心者の人
②普段から音楽を聴く時は歌詞よりもメロディを楽しんでいる人
③文章を書くのがそれほど得意ではない人

この曲先(きょくせん)の方が向いている人ですが、先ほども書かせていただいたように、作曲をこれからはじめようという方や初心者の方などには、このやり方の方が向いているかも知れません。

また、普段から音楽を聴く時は、歌詞の内容よりもメロディの方を楽しんでいることが多い・・という人も、曲先の方が向いている可能性があります。

さらに、文章を書いたりするのがそれほど得意ではない・・という人も、最初は曲先で作曲をしてみるのもいいかも知れません。

詞先の利点

詞先(しせん)は冒頭でもご紹介しましたが、詞をまず書いてから、そこにメロディを乗せてゆく作曲方法になります。

一般的にはこちらの方が難しいとされています。

その詞先の利点ですが、

①メロディという制約がない
②自分が言いたいことを自由に書くことができる
③強いメッセージ性のある曲になりやすい
④キャッチーな曲になりやすい

詞先の場合は、メロディという制約がないので、歌詞を自由に書けるというのが一番の利点になろうかと思います。

自分が言いたいことを歌詞に込めることができるので、強いメッセージ性のある曲になったり、キャッチーな曲になりやすいという利点もあります。

詞先の欠点

一方、詞先の欠点ですが・・

①難しい
②歌詞が先にあるので、リズムやメロディに制限が出てしまう

詞先は難しいとよく言われますが、音のない言葉にメロディをつけてゆくことそのものもそうですが、さらに、リズムや音数など色々な制限が出てくるので、特に初心者の方には難しいと感じることも多いかも知れません。

詞先が向いている人

①歌詞を重視したい人
②普段から音楽を聴いている時は、メロディより歌詞を楽しんでいる
③メッセージ性の強い、キャッチーな曲を作ってみたい人

どちらを選んだらいいか?

さて、ここまで曲先、そして、詞先の利点や欠点などについて見てきました。

ここで、どちらを選んだらいいのか?ということについて少し考えてみたいと思います。

先ほどは、曲先が向いているのは・・

①初心者の人
②普段から音楽を聴く時は歌詞よりもメロディを楽しんでいる人
③文章を書くのがそれほど得意ではない人

詞先が向いているのは・・

①歌詞を重視したい人
②普段から音楽を聴いている時は、メロディより歌詞を楽しんでいる
③メッセージ性の強い、キャッチーな曲を作ってみたい人

と書かせていただきましたが、まずは、自分がどんな音楽を聴いているか?というところを考えてみてもいいのかも知れません

自分が好きで聴いている音楽ですとか、または、自分がカラオケなどで歌いたい曲を考えてみます。

そこで、もし、メロディの響きですとか、そういったものを楽しんでいることが多いなと思ったら、曲先をまずは試してみてもいいかも知れません。

そこで、もし、メロディも大事だけど、歌詞を重視して聴いているかな・・と思ったら、詞先をまずは試してみてもいいかも知れません。

ただ、勿論ですが、一番いいのは、どちらもやってみるということかも知れません。

どちらも、やってみなければ、自分に合うかどうかということはわからないと思うのです。

やってゆく中で、自分は曲先からはじめたけど、詞先の方が合っているなと感じるかも知れませんし、メロディを先に作った方が、歌詞が浮かんできやすいと感じるかも知れませんし・・

また、少し後でご紹介しますが、中島みゆきさんのように、歌詞とメロディを一緒に同時進行で作る人もいます。

色々なやり方を試してみるのもいいかも知れませんね。

槇原敬之さんが曲作りについて語った言葉

ヒット曲を沢山作曲している、シンガーソングライターの槇原敬之さんですが、あるラジオ番組でこんな風に語っています。(15年2月17日 back numberのオールナイトニッポンより)

「(詞先で作っている曲は)全曲ですね。1曲くらいかな、曲先って。

(詩先は)多分、僕の中で、「言いたいことがあるから歌を作るんだろ?」っていう感覚なんです。

ただ、これは本当に勘違いしないで欲しいのは、曲先で書ける人は、それは大尊敬してるんですよ。とてもあてのないものじゃないですか。メロディって、言葉もないし。

詩先だろうが、曲先だろうが、どっちでも。たまたま僕はそうだったっていう。

ただ、利点としては、曲にパズルのように入れていくと、本当に全く同じ字数で、ってことになっちゃうじゃないですか。でも、僕は1番と2番のメロが違ったりとか、平気でするんで。」

「言いたいことがあるから歌を作る」という言葉が印象的ですね。

槇原敬之さんの曲は、歌詞もそうですけど、メロディも記憶に残るというか、とてもメロディアスな曲が多いですけど、あの曲がすべて、詞が先だったとはなかなか、考えられないですね。

詞先というと、やっぱり何となく、天才肌というか、理論派というより、感性で音楽を作ってゆく方が多いような感じもします。

中島みゆきさんが曲作りについて語った言葉

下記は、中島みゆきさんが「ほぼ日刊イトイ新聞」の企画の中で、糸井重里さんと対談した時に語られた言葉です。

「 謙遜とかじゃなくて、歌はね、ヘタなんですよ。客観的に聴いても。

そのヘタがどうすれば使いものになるのか意識しますね。ヘタはヘタなりに使いどころがあるだろうと。

だから、わたしの場合、自分の限界を超えた曲は書いていないつもりです。

シンガーソングライターが作曲という魔境に足を踏み込むと、自分の力量を見失うというか、恐れを知らぬメロディを作ってしまうこともあるけど‥‥。

(歌詞とメロディは、別々に作るものですか?という問いに)

大抵はワンセットです。

楽曲提供の場合、メロディだけすでにできてる場合もありますけど、それは例外ですね。

言ってみれば百人一首ですよ。

言葉だけツルッと読むより、ある種の抑揚をつけたほうが響きもよくなるという点では。

最近は、メロディを先に作るだけじゃなくて、歌詞を書く前にアレンジまでしちゃうのが一般的らしいですけどね。歌詞はラララのまま、録っちゃうんでしょ。スゴイよね。」

出典:ほぼ日刊イトイ新聞 https://www.1101.com/miyuki/2007-09-21.html

平井堅さんが曲作りについて語った言葉

平井堅さんは以前、インタビューの中で、詞を書いて、ほぼ同時にメロディを付けると語っています。

「作詞作曲って訓練を積んだ人がやることだと思ってたから。(中略)詞なんて書いたことなかったし、メロディは譜面を読める人が作るものだと思ってて、楽譜はいまだに読めないし、まさか曲を書く人生になるなんて思ってもみませんでした。

(どうやって作曲するかを聞かれて)

一応ピアノでコードは覚えましたけど、まあ鼻歌です。詞から書いて、ほぼ同時にメロディを付けて、だいたい仕上がってからコードをあてるって感じ。

(詞先なんですねと聞かれて)

ここ10年以上そうです。詞先というか同時というか“ラララ”で作らないって決めていて。今のところは詞先が楽なんです。

(中略)

何か強い感情とか強い景色とか強い人とか、そういうものが浮かぶまではペンを持たないようにしてます。その分、書き出すとすんなり書けるんですよ。

出典:音楽ナタリー特集:インタビューhttp://natalie.mu/music/pp/hiraiken04/page/3

その他のアーティストさんの曲作りについて

福山雅治さんは、自身のラジオ番組の中で何度も自分は曲を先に作ると、それが自分のやり方ですと語られています。

確かに、福山さんの曲は、メロディがいいものが多いですよね。そこに印象的な歌詞を加えてゆけるのは、すごいなぁと思います。

初期の頃のビートルズの曲は、口笛で作っていたという噂もありますが、それもどこかうなずける気がします。

B'zの場合は、曲先だそうです。

松本孝弘さんが曲を作って、稲葉浩志さんが作詞する形が多いようですが、松本孝弘さんは出演したラジオ番組の中で、普段から曲のストックはあまりしておかないで、アルバムを作る時に作ってゆくことが多いと語っています。

稲葉浩志さんは、まず、最初にアコースティックギターの弾き語り(歌詞はなし)を聴かせてもらって、そこから、アレンジをしながら、詞を書いてゆくことが多いそうです。

歌詞は、普段から考えているものを書くこともあれば、曲のイメージから書いてゆくこともあるのだとか。

・・・とここまで見てきましたが、色々なやり方があって、そこに決まりのようなものはないのかも知れません。

ただ、自分なりのこれだというやり方が見つかるといいですね。