HOME > 時計 >

腕時計の機械式とクオーツの7つの違い。どっちがおすすめか?

腕時計は大きくわけると、「機械式」と「クオーツ」の2種類があります。

今回はそんな機械式とクオーツの腕時計の7つの違いについて、また、それぞれの利点や欠点についてご紹介したいと思います。

また、記事の最後ではどちらがどんな人におすすめか?ということについても書いてみたいと思います。

それでは早速見てゆきましょう!

1)動力の違い

機械式とクオーツの腕時計の1つ目の違いは時計を動かす「動力」です。

この時計を動かす動力(機構)のことをムーブメント、という風に言いますが、簡単に言うと時計のエンジンのようなものになります。

機械式はゼンマイを使って動く時計になります

写真はオメガの「スピードマスター プロフェッショナル」のムーブメント。ゼンマイの力だけで、歯車を動かし、正確に時を刻む。

機械式は、電池などは一切使わず、ゼンマイの力だけで時計が動きます。

このゼンマイですが、一度、最後まで巻いてあげると、その時計(モデル)にもよりますが、2日から3日程度、時計が動きます。(中には一週間動き続けるモデルも)

ただ、その後は時計は止まってしまいますので、またゼンマイを巻いてあげる必要があります。

機械式腕時計にも、①手巻きと②自動巻きという2つの種類があります。

①手巻きは、手で(リューズと呼ばれるパーツを回転させて)ゼンマイを巻いて使うタイプ。

②自動巻きは、手で巻くこともできますし(手で巻くことのできないモデルも中にはあります)、または、腕にはめているだけで、時計の中にあるローターと呼ばれるパーツが腕を振ることで回転して、自動的にゼンマイを巻いてくれます。

下の赤い丸で囲ったパーツはがローター。(写真はロレックスのムーブメント)

手巻きには手巻きの良さがあるのですが、自動巻きは、時計をしているだけで、勝手にゼンマイが巻き上げられるので、とても便利です。

機械式は、手巻きにしても自動巻きにしても、電池などを一切使わずにゼンマイの力だけで歯車を動かして、正確に時を刻んでくれる時計で、それがまたとても神秘的と言いますか、多くの時計ファンが機械式時計を愛する理由でもあるのかなと、思います。

一方、クォーツは、電池で動く時計になります

少し詳しく説明すると、クオーツとは水晶という意味がありますが、クオーツ時計は電力を使って水晶を振動させることで、時計を動かす時計になります。

写真はグランドセイコーのクオーツ・ムーブメント。電池が入っているのがわかる。

ここで簡単にまとめると、機械式はゼンマイを使って動く時計。クオーツは電池を使って動く時計になります

2)精度(正確性)

機械式とクオーツの2つ目の違いは、時計の精度(正確性)です。

機械式は先ほどもご紹介したようにゼンマイを巻いて動かす時計ですが、機械式の精度はそのモデルにもよりますが、1日の誤差が±10秒~20秒程度出てくる場合があります。

例えば、朝、正確に時刻をセットしたとします。

すると、翌朝の同じ時刻に、時計が10~20秒進んでいたり、遅れていたりする・・・可能性がある、ということになります。

ただし、ロレックスなど、一部もメーカーの時計は1日の誤差(日差)が10秒未満と精度にも優れた機械式時計もあります。

一方、クオーツの精度ですが、これもモデルによりますが、ひと月の誤差(月差)が±20秒前後になります。

機械式が1日でその程度の誤差が生じるのに対して、クオーツはひと月でその程度の誤差にしかならない・・・ということになります

精度という意味ではクオーツは非常に優れた時計と言えます。

ここで簡単にまとめると、機械式は日差±10秒~20秒程度。クオーツは月差±20秒前後。精度はクオーツが上です。

3)耐久性

機械式とクオーツの3つ目の違いが耐久性です。

機械式は、衝撃や磁気に弱いのが特徴です。

例えば、機械式腕時計を誤って地面に落としてしまった場合、壊れてしまう可能性が高いです。(ただ、中には頑丈な機械式時計もあります)

また、磁気にも弱く、例えば、テレビやスピーカーのすぐそばに置いてしまったりすると、磁気の影響を受けて、精度が落ちたり、場合によってはメンテナンスが必要になるケースもあります。

磁気という意味では携帯、スマホも磁気がありますので、例えば、一緒に(くっつけて)置いておかないようにする必要があります。

一方、クオーツは衝撃や磁気にも強いのが特徴です。

多少ぶつけたりしても壊れないモデルも多く、中にはかなりの衝撃に耐えられるようなモデルもあります。

耐久性という意味でもクオーツは優れた時計と言えると思います。

ここで簡単にまとめると、機械式は衝撃や磁気に弱いのが特徴。クオーツは衝撃や磁気にも強いのが特徴です。

4)価格とブランド・伝統・資産価値

機械式とクオーツの4つ目の違いは価格、それからブランドの伝統、資産価値になります。

機械式腕時計は数十万円から中には数百万円のモデルもあります。

一方、クオーツは価格が低めで、数百円のものもあります。ただし、クオーツでも中には高級クオーツもあり、何十万円とするモデルもあります。

ブランドの伝統や資産価値ですが、機械式腕時計は古い歴史と伝統があります。

そのため、機械式腕時計を買う場合は、時計そのものだけではなく、その時計ブランドの歴史や伝統を買うということにもつながるかも知れません

また、機械式はクオーツと違って、資産価値があるものも多く、モデルによっては高い価格で売却できるものも。

また、中には、生産が中止した後に驚くほどのプレミアがつくモデルも多く存在し、販売価格の何倍、何十倍で販売されるモデルもあります。

写真はロレックス デイトナ。歴代のモデルの多くはプレミアがついていて、人気が絶えない。

ここで簡単にまとめると、機械式は数十万円から数百万円のモデルもある一方で、クオーツは比較的安価で購入できます。また、機械式は資産価値になることがあります。

5)商品の数(ラインアップ)

機械式とクオーツの5つ目の違いが商品の数(ラインアップ)です。

機械式も沢山のメーカーが存在し、多くのモデルがありますが、クオーツはさらに商品点数も多いのが特徴です。

そういう意味では、クオーツの方が、選択肢が多いと言えますし、機械式に比べると、バラエティ豊かなデザインの中から選べるのもクオーツの良さかも知れません。

6)メンテナンスと維持費

機械式とクオーツの6つ目の違いがメンテナンスと維持費です。

冒頭でもご紹介した通り、機械式時計はゼンマイを使って、歯車やその他のパーツを動かしているのですが、それらのパーツの摩耗や油切れを防ぐため、モデルにもよりますが、5年程度に一度、オーバーホールと呼ばれる、メンテナンスが必要になってきます

このオーバーホールの料金ですが、メーカーやモデルによっても違ってきますが、数万円以上は覚悟しておく必要があります。

中にはもう少し高い料金(オーバーホール代金)がかかるモデルもあります。できれば、購入前にオーバーホールの料金がどの位かかるか、どの程度の頻度でした方がよいかをメーカーやお店などに確認しておくといいかと思います。

機械式はそんな風にして、維持(メンテナンス)費がかかるのですが、その分、壊れた時に修理することができ、場合によっては親から子供に引き継ぐ・・・なんてことも可能ですし、少なくとも一生モノの時計として使うことができる時計になります。

クオーツは寿命があり、そうはいきません。

クオーツに必要なメンテナンスとしては、電池交換が必要になります。(ソーラータイプなど、電池交換が不要のものも)

電池交換は、そのモデルにもよりますが、数年に1回程度で、費用は1000円程度。

クオーツの中にもオーバーホールができるモデルもありますが、基本的にクオーツの場合は、メンテナンスは電池交換位で、メンテナンス費用、維持費は殆どかからないのが魅力です。

ここで簡単にまとめると、機械式は5年程度に1度、オーバーホールと呼ばれるメンテナンスが必要です。一方、クオーツは電池交換が必要ですがそれ以外のメンテナンスは必要ありません。

7)寿命

機械式とクオーツの7つ目の違いは寿命です。

先ほども書かせていただきましたが、機械式は一生使うことができたり、親から子に引き継いでゆくことも可能です。

メンテナンスをしてゆけば、ずっと使い続けることができ、使い込んでゆくほどに愛着がわいてくるのも機械式の魅力ではないかなと思います。

一方、クオーツの場合は電子回路の寿命が10年程度と言われています。(中にはもっと長く使えるモデルもあります)

機械式とクオーツの比較表

簡単な比較表にしてみたいと思います。

機械式の利点と欠点とは?

ここまでのことを簡単にまとめると、機械式の利点は、ゼンマイを使って歯車を動かして正確に時を刻む・・というロマンがある点でしょうか。

機械式の中には、裏側が透明のガラスになっていて、ムーブメント(歯車など)の動きを見ることができるモデルもあります。

機械式のムーブメントは、宇宙と表現されることもありますが、本当に美しいですし、言葉にできない不思議な魅力があると思います。

写真はパテック・フィリップのノーチラスに使われているムーブメント。

機械式に興味のない方に言っても「はい?」と理解されないかも知れませんが、まさに、「宇宙だなぁ・・」と思うのです。

また、一生使ってゆけるというのも機械式の利点だと思います。「子供が成人した時に渡す」・・なんていう話も聞いたりしますが本当に夢があるなぁと、思います。

それから、資産価値があるという点や歴史を所有するという意識になれるのも機械式の利点ではないかなと思います。

一方、機械式の欠点は、ここまでご紹介してきた通り、

・維持費がかかる
・耐久性が弱い
・精度がクオーツに比べて落ちる
・ゼンマイを巻かないと止まってしまう(ただし、電池交換がいらないのは利点でもあるかも知れません)

・・といった点になります。

クオーツの利点と欠点とは?

クオーツについても簡単にまとめたいと思います。

利点は、

・精度が優れている
・安価なこと
・ラインアップが豊富
・メンテナンスがいらない
・維持費が安い

欠点は、

・寿命がある(一生ものの時計にはできない)
・資産価値にはならない(ものが多い)

・・といった点になります。

どっちがおすすめか?

さて、ここまで機械式とクオーツの違いについて色々と見てきました。

最後にどちらがおすすめか?ということですが、これはその方の好みや使い方によっても変わってくると思います。

ただ、簡単にご紹介すると、

機械式腕時計がおすすめ

クオーツ式腕時計がおすすめ

・・といった形になるかなと、思います。

ただ、使い分けるのもいいかも知れません。

機械式腕時計が好きという方の中にも、場面によってクオーツ時計を使い分けている人もいます。

反対に、普段はクオーツの時計ばかりしているけど、気分によってたまに機械式をつけているという人もいます。

僕(筆者)自身は、機械式時計が好きですが、クオーツ時計も便利さがとても気に入っていて、やはり場面によって使い分けています。